メインコンテンツへスキップ
Intimacy Observatory親密性の観測所
出会いの古典と現在に戻る

Mass-market Matching

日本の大衆型

How desire became daily dating vocabulary.

出会いたいという欲望を、恋活・婚活という日常的な言葉へ翻訳した。

2010年代、日本の出会いは大きく変わった。

掲示板からプロフィールカードへ。
直接メッセージから相互マッチへ。
ポイント課金から月額アクセスへ。

大衆型マッチングアプリは、出会いを「恋活」「婚活」という社会的に説明しやすい活動として定着させた。

利用者は自分の欲望を、価値観、趣味、結婚への意思、相性といった言葉へ翻訳してから、候補プールに入る。

ここで販売されているのは、接触の可能性ではなく、関係の可能性である。

出会いたいという欲望は、
恋活・婚活という言葉へ翻訳された。

Four mass-market services

四つの大衆型サービス

Active / 稼働中

Pairs

Pairs

2012年から現在

Matching
相互マッチを会話開始の条件とする。
Desire framed as
恋活、婚活、価値観、将来設計、真剣な交際。

Pairsは、出会いたいという欲望を、価値観、趣味、将来設計という社会的に説明しやすい言葉へ翻訳した。

Read record
Active / 稼働中

tapple

tapple

2014年から現在

Matching
双方のいいねによる相互マッチが必要。
Desire framed as
恋活、趣味、会話から始まる関係、共通の関心。

tappleは、出会いの前段を「趣味の一致」という説明可能な形式に整えた。

Read record
Active / 稼働中

with

with

2010年代から現在

Matching
双方のいいねによる相互マッチが必要。
Desire framed as
相性、価値観、心理タイプ、失敗しない恋活。

withは、出会いを「相性の問題」として再定義した。

Read record
Active / 稼働中

Omiai

Omiai

2010年代から現在

Matching
双方のいいねによる相互マッチが必要。
Desire framed as
婚活、結婚、真剣交際、将来設計。

Omiaiは、出会いを「お見合い」のデジタル版として設計した。

Read record

From bulletin board to profile card

掲示板から、プロフィールカードへ

老舗出会い系が掲示板とポイント課金で接触市場を作ったのに対し、大衆型マッチングはプロフィールカードと相互マッチで関係市場を作った。

  1. 出会い系サイト
  2. プロフィール検索
  3. スマートフォンアプリ
  4. 大衆型マッチング
  5. 価値観・心理診断型
掲示板投稿
プロフィールカード
直接メッセージ
相互マッチ後の会話
ポイント課金
月額アクセス
今の目的
継続的な人物像
地域検索
レコメンドと条件検索
接触の可能性
関係の可能性

Profile as interface

プロフィールカードというインターフェース

  1. 01プロフィールカード

    老舗出会い系の掲示板が「今、何をしたいか」を書く場所だったのに対し、大衆型マッチングは「どのような人間か」を書く場所になった。

    写真、年齢、職業、趣味、結婚への意思——利用者は自分を一枚のカードに圧縮する。

  2. 02相互マッチ

    双方がいいねを送り合って初めて会話が始まる。

    接触前の拒否が可能になり、老舗出会い系の一方向接触とは異なる選別構造が生まれた。

  3. 03月額アクセス

    ポイント課金型が行動ごとに課金するのに対し、大衆型は一定期間のアクセス権を購入する。

    課金の単位が、接触の回数から、候補プールへの参加期間へ移った。

  4. 04欲望の翻訳

    出会いたいという欲望は、恋活、婚活、価値観、趣味、将来設計へ翻訳される。

    利用者は自分の欲望を、周囲に説明可能な言葉へ変換してからサービスに入る。

Subscription access economy

月額で買うのは、候補プールへの参加権

  1. 01候補プールに参加する
  2. 02プロフィールカードを閲覧する
  3. 03いいねを送る
  4. 04相互マッチを待つ
  5. 05メッセージを送る
  6. 06会話を継続する
  7. 07対面へ移る
  8. 08関係を更新するか、利用を続ける

関係は購入できない。
購入できるのは、候補プールに参加し続ける期間である。

Desire translation

欲望は、どの言葉へ翻訳されるのか

  • 恋活

    交際相手を探す日常的な活動としての出会い

  • 婚活

    結婚を前提とした相手探し

  • 価値観

    生活感覚や将来設計の一致

  • 趣味

    共通の関心から始まる関係

  • 相性

    心理テストや診断に基づく適合性

  • 真剣交際

    遊びではない関係の自己申告

Mass-market vs legacy

大衆型と老舗出会い系

大衆型マッチング

Mass-market matching

  • プロフィールカードから始まる
  • 相互選択後に接触する
  • マッチ成立が会話の条件
  • 継続的な人物像を登録する
  • 月額または機能課金
  • 属性と相性が重要
  • 恋活・婚活として目的を整理する
  • 社会的に説明しやすい
  • 接触前の選別が多い
  • 関係の可能性を売る

老舗出会い系

Legacy dating services

  • 掲示板や検索から始まる
  • 一方向から接触できる
  • マッチ成立は必須ではない
  • 今の目的を投稿する
  • 行動ごとのポイント課金
  • 地域と現在性が重要
  • 恋愛以外の目的も混在する
  • 境界が曖昧
  • 接触量が多くなりやすい
  • 接触の可能性を売る

Closing observation

説明可能な出会いへ

大衆型マッチングは、出会いを社会に説明可能にした。

恋活、婚活、価値観、相性——利用者は自分の欲望を、周囲が理解できる言葉へ翻訳してからサービスに入る。

老舗出会い系が接触の市場だったのに対し、大衆型は関係の市場である。

しかし、関係が始まるとは限らない。マッチは成立する。メッセージは交わされる。それでも、孤独は消えないことがある。

マッチは増えた。
関係は、必ずしも増えなかった。