Pen Pal Correspondence
文通
戦後から1990年代頃
- 手紙
- 封筒
- 切手
- 郵便受け
- 雑誌の文通募集欄
- Time structure
- 返事が来るまで数日から数週間待つ非同期型。
住所と文章を交換し、長い時間をかけて見知らぬ相手との関係を形成する接続方法。
文通では、相手との関係が始まる前に、まず文章があった。
Read recordVanished Systems of Encounter
Before profiles and swipes, what allowed strangers to begin?
プロフィールもスワイプもなかった時代、人は何を手がかりに誰かを探したのか。
かつて、知らない誰かと出会うためには、待つことが必要だった。
手紙を書き、返事が来るまで待つ。
雑誌が発売され、自分の投稿が掲載されるのを待つ。
録音された伝言に、誰かが応答するのを待つ。
繁華街の個室で、電話が鳴るのを待つ。
現在のマッチングアプリでは、候補者はほとんど途切れることなく表示される。
しかし、候補者が少なかった時代、出会いには空白の時間があった。その空白の中で、人は相手を想像し、自分の言葉を選び、接続が起きるかどうかを待っていた。
消えたのは、古い機械やサービスだけではない。
出会いの前に存在していた、長い待ち時間もまた消えつつある。
出会いは、検索するものになる前、
待つものだった。
Six vanished systems
Pen Pal Correspondence
戦後から1990年代頃
住所と文章を交換し、長い時間をかけて見知らぬ相手との関係を形成する接続方法。
文通では、相手との関係が始まる前に、まず文章があった。
Read recordPersonal Advertisements
1960年代から1990年代頃
新聞や雑誌の小さな投稿欄を通じて、自分の属性と希望を短い文章に圧縮し、見知らぬ相手からの連絡を待つ仕組み。
恋人募集欄は、現代のプロフィールカードの祖先だった。
Read recordRecorded Message Dial
1980年代から1990年代
利用者が音声メッセージを録音し、他の利用者がそれを聞いて応答する、電話回線上の非同期型コミュニケーション。
伝言ダイヤルは、声をプロフィールとして使った。
Read recordTwo-shot Telephone Service
1980年代後半から1990年代
電話サービスへ接続した利用者同士を、音声だけの一対一の会話へ即時に接続する仕組み。
ツーショットダイヤルには、プロフィールを読む時間がなかった。
Read recordTelephone Club
1980年代後半から1990年代
繁華街の店舗に設置された個室で、女性からかかってくる電話を男性利用者が待ち、会話と待ち合わせを成立させる仕組み。
テレクラは、相手を検索する場所ではなかった。
Read recordStar Beach
1990年代後半から2000年代
携帯電話向けの掲示板を通じて、地域、目的、年齢などを投稿し、メールで直接連絡を取り合う大規模な出会いの場。
スタービーチは、テレクラの着信を、携帯電話の掲示板へ置き換えた。
Read recordInterfaces of Encounter
What disappeared with them
以前の出会いには、相手が現れない時間があった。
返事が来るか分からない数週間。電話が鳴らない数時間。メールが届かない夜。
現在のアプリは、その空白を次の候補者で埋める。
写真がないとき、人は声や文章から相手を想像した。
現在は、会話が始まる前に、写真、職業、年齢、趣味、年収、価値観が提示される。
情報が増えるほど、想像は減る。
ツーショットダイヤルでは、つながったあとで会話を続けるか決めた。
現在のアプリでは、つながる前に拒否できる。
拒否は安全になったが、偶然は起きにくくなった。
テレクラには店舗があり、待ち合わせる駅や喫茶店があった。
現在の出会いはスマートフォンの中にあり、どこからでも接続できる。
出会いは場所を失い、常時接続になった。
古い装置では、手紙を捨て、電話番号を変え、店へ行かなくなれば、関係は消えた。
現在のやり取りは、サーバー、スクリーンショット、検索履歴、位置情報、推薦モデルの中に残る。
出会いは簡単になったが、完全に消えることは難しくなった。
Lineage to the present
Closing observation
文通、伝言ダイヤル、テレクラ、携帯掲示板。
これらの装置は、それぞれ異なる技術を使っていた。しかし、共通していたのは、接続が起きるまで利用者が待つ必要があったことだ。
現在のマッチングアプリでは、候補者は次々に表示される。利用者は接続を待つのではなく、候補者を選び続ける。
出会いの不足は、候補者の不足から、判断力の不足へ変わった。
誰にも会えないことよりも、誰を選べばよいか分からないことが問題になる。
そして次の時代には、その選択さえAIへ委任されるかもしれない。
出会いは、
待つことから選ぶことへ。
そして、選ぶことから委任することへ移っている。